このブログで、たびたび紹介してきた、”ノラ猫のゴン”が、我が家で息を引き取った。
一週間位前から急に元気がなくなっていたが、ここ2,3日は横になったままでトイレもままならなかった。
妻が体を起こして、水を飲ませて(その時は飲んだそうだが)、約一時間後に見にいったら、吐瀉物を吐いて、息絶えていた。
口の回りを拭いてやったときに、かすかに、かすれる声でニャーと鳴いたと妻は言うのだが、私にはわからなかった。
数年前、ゴンが我が家の前を通った時に、私が小魚を放りなげたのが初めての出会いで、以来、ゴンは我が家の周りをテリトリーとするようになった。
そして、他のよそ者のノラ猫とはち合わせするようなら、大きなうなり声をあげ威嚇するのだった。
ただ、不思議なことに、同じノラの”トラ”とだけは、すこぶる仲がよかった。家の前でいつも一緒にたむろしていた。
去年の10月ごろのことだ。
ゴンが、トラと一緒に家の中に入ってくるようになった。(トラはずっと前から我が家に入り浸りで、半ノラ状態であった)
この時、ゴンはノラ猫から脱却して、半分家猫(=もどき)になったのだ。
そして、夜は、毎日わが家ですごすようになり、やがて、体調のせいか、あまり外へは出なくなっていった。
最晩年の、”最後の冬”を、基本、暖かい家の中で過ごした。夜は暖房は切るが、トラと一緒に重なって、丸くなって寝るのが常だった。
ノラ猫として、死期を悟ったのだろうか、最後は人に見守られて、暮らしたいと思ったのか、、、これは、私の思い過ごしか。
一匹のノラ猫が死んだ。
何年生きたかわからない。どこで生まれたかもわからない。
だけど、確かにこの世に生まれてきた。
恐らくは、人間には歓迎されずに生まれてきた。
でも、人間界の片隅で、”ノラ猫”という境遇を、控えめに、けなげに、だけど ”強く” 生きてきた。
孤高のノラ猫だった。
名前は無かったが、私はゴンと名付けた。妻はゴンちゃんと呼んでいた。
そして、縁があって我が家にきて、最後には我が家の座布団の上で、安らかに息を引き取った。少なくとも、私たち夫婦に爪あとを残して。
ノラ猫だったので写真があまりない。
もっといい写真が撮れたはずだが、残念だ。そして、いつもトラと一緒の時が多い。
このブログに書き残すことで、”彼=ゴン”が確かに、この世に生きていた証(あかし)を残したい。
昔はきつい目をしていたが、最近はおだやかな顔つきになっていた。
いつも2匹は仲がよかった
初めて家の中に来た日
仲良く寝ていた。
これは、まだ安心しきって、寝ている時
今、トラは、ゴンが逝ってしまったことがわかるのか、さびしそうではある。
ノラ猫の最期を”看取る(みとる)”たびに、人間のエゴを思う。