女優の秋野暢子さんが食道がんの闘病から復帰して、テレビでンタビューを受けている様子を拝見した。
医者から提示された治療は、全摘出手術か、化学療法+放射線療法の2択だったそうだが、秋野さんは後者を選んだ。そして、見事闘病生活から生還したということであった。
私は、同じがんサバイバーとして、心から、”おめでとう”と申し上げたい。
私の病名は”下咽頭がん”であったが、私のがんと秋野暢子さんの食道がんは、呼び方が違うだけで、同じものではないかと感じている。
どちらも、のどの全摘出手術によって声帯を失う部位のがんである。
そして、私も、秋野さんも、その全摘手術を選ばなかった。つまり、QOL(生活の質)を選んだ。
声帯が無くなり、声が出なくなるのはショックなことであるし、生活が一変する。
しかし、問題はそれだけではない。
新しく首に穴を開けて気道(呼吸)を確保することによって、普段、何気なくできていた当たり前のことができなくなる。
まずは、匂いを感じなくなる、そして風呂で肩まで浸かれなくなる。
首の気道の穴に水が入ったら、肺へ直結だ。勿論、シャワーもNGだ。
下咽頭がんの5年生存率は40~50%と決して高くない。それでも、私は、何としても全摘手術は避けたかった。
そして、運よく、内視鏡による経口手術を受けることができた。
私の場合、早期発見の表層がんではあったが、罹患範囲が広いのがネックであった。
最初の大学病院では、秋野暢子さんと同じ、全摘手術か、放射線治療かの二者択一を提示された。(私は腎臓機能の数値に問題があったので化学療法は除外された)
幸いにも、早期発見のきっかけになった地元のクリニックの先生から、別の大学病院の先生を教えてもらった。
そして、その大学病院の先生を頼って、セカンドオピニオンを受け、かろうじて「生体を温存して、がんの摘出手術が出来ます」といってくれた先生にたどり着くことができたのである。
切り取った私のは、当時、その病院で扱った内視鏡手術でも、稀有な大きさ(広さ)だったとあとで聞いた。
ケースは違うが、秋野暢子さんの場合も、QOLを選んだ。そして、本人に合った適切な化学療法を受けることができたと推察される。
インタビューを見て、良い先生に巡り合えたのだということが感じられた。
勿論、病状によっては、望んでもQOLを選べないケースもあることは理解している。
私は運がよかった。そして秋野さんには強い信念がった。
私は、幸いなことに、3年半経過しても、下咽頭がんからの再発や転移は無く、今、このブログを書けている。(前立腺がんという、新しいがんの闘病中ではあるが)
後悔しない選択をする大切さを思う。