むち打ちの刑

シンガポールにはむち打ちの刑がある、と以前書いた。(不思議な国シンガポールの記事参照)

昔、仕事でシンガポールに住んでいたことがある。

わずか3年弱の期間だったが、シンガポールは、日本と同じように治安がよく、非常に住みやすい国だったという印象である。実際、法に触れるようなことをしなければ、であるが。

シンガポールには、チュウインガムを持ち込んだり、貯め水を放置して、蚊を大量発生をさせたりすると罰せられるという特殊な法律がある。

それは、街の美観のためだったり、デング熱などの蚊を媒介する伝染病を防ぐためだったりするのだが、驚くべきことはそれがきっちりと守られている管理社会であるということである。そして、麻薬の持ち込みは、初犯でも死刑である。

考えてほしい。日本で、チューインガムを禁止する法律ができたら、皆それを守るだろうか?

シンガポールは、第二次大戦後にマレーシアから独立した。(正確には、英国から独立したマレーシアが、中華系の民族を追放し、やむなくシンガポール国家ができたのだが)ちなみに、日本が一時シンガポールを支配していた時期もあった。

独立以来、僅か60年弱の期間ではあるが、シンガポールの発展は目覚ましい。

シンガポールには天然資源が無い。又、小さな都市国家である。国土は、東京23区ほどの面積しか無い。車を1時間も走らせれば、大体の場所に行き着くことができた。

しかし、今や、国民一人当たりGDPは世界第二位、日本の2倍近くで、アジアの貿易、金融、交通の最大の中心地である。観光産業にも力を入れている。

シンガポールが、ここまで発展できたのは、独立時の指導者、リー・クアンユーによるところが大きいと思う。彼は、独裁的な国家運営で管理社会を築いて、明確なビジョンのもとに、国作りを行なってきた。そして、今は、息子のリー・シェンロン首相が引き継いでいる。

小さな国だからこそ、(ほぼ)一党支配で、厳しく国の在り方を国民に求めてこれたのだろう。この国のサイズが丁度良かったのかもしれない。

それでも、国民が、その体制に満足しているように(私には)見えた。(だいぶ前の私が住んでいた時の印象だが)

さて、話を本題にもどそう。

赴任した時に、シンガポールにはむち打ち刑があると聞いた時、私は日本の時代劇でよくあるシーンを思い出して、何とも前時代的であると感じたものだ。

しかし、最近は、日本にもそういう刑があってもいいのではないかと思うようになった。

何故なら、日本の場合は、特に軽犯罪に対して、処罰が甘いのではと感じることが多いからである。

警察の留置所に拘留されることを意に介しない人間がいる。

むしろ、進んで刑務所に入りたいがために、犯罪を犯す人がいる。

大麻の所持や使用で何回も、刑務所に出たり入ったりしている”やから”がいる。

街中でオートバイを蛇行運転させて、警察官をからかっている若者もいる。

手錠をかけられても、へらへら笑っている奴もいる、等々。

人に迷惑をかけることに鈍感な人種を増長させているのは、(専門的なことはわからないが)不起訴や起訴猶予、起訴されても罰金や留置、簡単な処分で終わらせていることが原因ではないか?と思ったりする。

警察に捕まることを意に介さない人種がいるのだ。

その場合には、社会的制裁よりも、体罰の制裁の方が。厚生に効果ある場合もあるのではないか?心の痛みを意に介さない人種には、体の痛みの方が有効ではないか、、、と思う。

ところで、シンガポールのむち打ち刑は、一回で失神する人もいるらしい。又、刑の重さによって、むち打ちの回数が決まるらしいが、老人と女性は除外されているそうだ。

肝心なことは、犯罪を犯した者が、もう二度とこの刑を受けたくないと思うことである。

シンガポールは何とも興味深い国だ。