アメリカの砂糖壺が壊れそう(続き)

(表題のアメリカの砂糖壺という表現については、このブログの「古き良き時代のアメリカー」参照)

本日、11月7日時点で、まだ大統領選の決着がまだつかない。

前回、多様性を尊重する古き良きアメリカが壊れていくと書いた。

大統領選のごたごたを見ていると、私が暮らしていた頃に感じたアメリカの懐の深さは、私の幻想だったのかもしれないと思うようになってきた。

なんでこんなことになってしまったのか。

勿論、それはトランプ大統領が社会の分断を煽ってきた結果である。

トランプの米国第一主義とは、建国以来の白人中心主義の国を取り戻すことであった。そして、これまで表面に現れてなかった、白人層の心の奥底に潜んでいたマイノリティ化への不安を表面化させることになった。

言うまでもないが、アメリカという国は移民の国である。

ネイティブアメリカン(インディアン)が暮らしていた大地に、白人が移り住んで国を作ったのが、わずか250年前の話である。日本では江戸時代中期の頃だ。

そして、その白人が奴隷として黒人を連れてきた。南北戦争奴隷制が廃止されてたのち、表面的には、黒人にも人権ある社会が形成されていく。

更には、周辺国との紛争で国土を確定していく過程で、ヒスパニック(主にメキシコ)が国家形成の一部に加わる。

そして、豊かなアメリカに憧れて、周辺国からのヒスパニックの人口流入が今も続いている。

 今回の大統領選で、フロリダ州はヒスパニック系がトランプ票にプラスになったと言われる。民主党の政策が母国の社会主義制と重なり、ベネズエラキューバからの移民に毛嫌いされたことがその理由だと言われている。

一方では、アリゾナ州では、メキシコ系ヒスパニックが民主党のバイデンに多く投票したため、共和党有利の事前予想がくずれ、バイデン有利になっている。同じヒスパニック系でも正反対の投票行動だ。

これほど、アメリカの人種問題は複雑なのだ。

つまり、アメリカはまだ建国250年の、新しい、複雑な多人種国家である。一国のリーダーが国をまとめていくのは、相当難しいことなのだとわかる。日本のように単一民族の国家ではないのだ。

だが、世界の民主主義をけん引してきた国のリーダーが、社会の分断を煽ってはいけない。トランプのこれまでの言動は、本当に危機的だ。

トランプは自分を熱狂的に支持してくれる人達だけを見るのではなく、トランプ政権はNOだと言う人達が、これ程多くいることを考えるべきである。

そう、冷静で良識あるアメリカの人達から、自分は拒否されていることを。

アメリカを、ここまで壊したトランプの責任は本当に大きい。これからのアメリカが本当に心配だ。