国境の無い南極

私たち日本人は、四方を海に囲まれている国で暮らしている。

普段は国境を意識しないで生活がなりたっている。一般的には国境を意識するのは、国際空港での出入国時だろうか。

この世の中に、なぜ、戦争が無くならないのか?

答えは簡単、人間が勝手に作った「国境」という”縄張りらしきもの”があるから。

人類は人類で一つのくくりなのに、なんと身勝手なことである。

宇宙飛行士の毛利衛さんは「宇宙からは国境線が見えない」と言った。

国境は人間が勝手に地図上に作った線なのだから見えない。

だが、人類は馬鹿みたいにこの見えない線に固執する。

だから、いさかいが絶えない。

 

ところで、「南極大陸」はこの地球上で、唯一、国境の無い大陸だとテレビのニュース番組でやっていた。なんで、人類は南極大陸をお手本にできないのだろうか。

南極大陸でできるのなら、他の4大陸でできてもいいはずではないか。

 

国境の無い地球、、、なんて甘ったれたことを言っているのと言われそうだ。

 

ところで、昔、20代の終わりに、仕事で国境の町に住んでいたことがある。

アメリカのテキサス州エルパソという砂漠の中の小さな町だ。

そして、西部劇で有名なリオ・グランデという川を挟んで、反対側にメキシコの町ファーレスがある。このアメリカとメキシコの国境は、富める国と貧しい国の国境としては、世界最長だと聞いたことがある。

であるから、いろいろ問題が多い。

ボーダーパトロールという組織があり、国境の警備にあたっているが、メキシコ側からアメリカへの密入国者が絶えない。

ウエットバックと呼ばれる人たちは、川を渡って入ってくる密入国者たちのことである(背中が濡れているから)。リオ(川)グランデ(大きい)は名前とは裏腹に狭い川なのだ。

トラックの荷台が二重になっていて、底には何人もの密入国者が並んで横になっていたという話もあった。

前に、トランプさんがこの国境沿いに壁を作ると言っていたが、その後どうなったのだろう。

まあ、無理だとは思っていたが、本気でそれを声高に唱えるトランプという人は、どうなんだろうと思う。

何しろ、ざっと見たところ2,500km以上はあるのではないか?日本の南北の距離より長いと思う。完成したら、アメリカ版の万里の長城になるだろう。

 

そんな国境の町に仕事で3年ほど住んでいた。

(詳細は、このブログの ”古き良き時代のアメリカ” を参照されたい)
当時はNAFTA北米自由貿易協定)という米国、カナダ、メキシコの三国間で結ばれた経済協定(税制優遇制度)があった。

メキシコ側の工場で製造した部品をアメリカ側に輸入して、アメリカの各得意先へ直接供給するというのが私の主な仕事だった。

したがって、リオグランデの橋の真ん中にあるイミグレーションは、週に何回も行き来していたものだ。当時は、国境を超える度に貧富の差を明確に感じていたことが印象に残っている。

国境がなければ、誰でも自由に行き来できていたら、この状況はどうなっていたのだろうか。

確か、トランプさんが大統領選で負けたのは、アリゾナ州を落としたのが痛かったのだと思う。アリゾナはメキシコをはじめとするヒスパニック系の人が多い。

一方、欧州EUは、詳しくは知らないが、パスポートなしに行き来でき、通貨も統一されている。

EUは、国境の無い状態に少し近づいているのだろうか?

 

「南極には国境がない」とテレビで話していたので、連日のロシアのウクライナ侵略のニュースと絡んで、とりとめもない話になった。