前回、前立腺ガンが確定したと書いた。
このまま放っておいたら中途半端なので、その後を書いて、取り敢えず、この話題をしめておきたい。(気にする人もいないかもしれないが)
ガンが確定して、転移があるかどうかを確認するための検査を二つ受けた。
前立腺ガンは、限局で留まっているか、他への転移があるかで大きく治療方針が違ってくる。大袈裟に言えば、運命の分かれ道である。
一つは他部位への転移を確認する為の造影CT検査、もう一つは骨への転移を調べる骨シンチグラフィーである。
造影CTは、下咽頭ガンのフォロウ検査で毎年行っていたので、特に違和感はなかった。
もっとも、これは今年2月に行ったばかりなので、その時に何故この前立腺ガンが発見されなかったのか、素人的には、やや、引っかからないわけではない。
骨シンチは、初めてだったが、私には、CTもMRIも骨シンチも、ドーム型の機械に入るという点では、同じようなものである。
もっとも、MRIは30分間も身動きできずに、しかもガンガンうるさい機械音の中にいるという点で、あまり好きではない。
骨シンチの場合は、撮影の約四時間前に静脈注射で薬を体内に入れる。つまり、撮影まで4時j間もヒマを潰さなければならない。
私は、一旦、病院から出て、付近を散歩しようとしたが、猛暑の中、5分も経たないうちに汗が噴き出してきたので、諦めて病院の中にもどった。あとは、冷房の効いている院内をうろうろして、時間を潰さなければならなかった。4時間は長かった。
そして、二つの検査の結果、転移は確認されず、一応、限局ガンと診断された。但し、悪性度が10段階のうち、8と出ているので、前立腺の外側にガンが逡巡している可能性があるとのことだった。
ただ、そういうことは、これまで高い費用を払って行ってきた四つの検査(MRI、生検、CT、骨シンチ)ではっきりわからないのかと、ちょっと、不満が残った。
まあ、取り敢えず他への転移が無かったことはよかった。
そして、取り敢えずガンを小さくするホルモン療法で、半年間様子をみて、その後、手術で摘出するか、放射線で治療するか決めることになった。
どの治療法をとったとしても、そこで終わりではないのが、この病気の厄介なところだ。今後長い期間、定期的に監視していかなければならない。
さて、三谷幸喜氏が、前立腺ガンの本を出して話題になっていたので、私も買って読んでみた。前立腺ガンについて、ご本人の経験から、分かり易く書いてある医師との対談本であり、一般の人が、このガンを初期の段階で理解するには、非常に役にたつ。
ただ、三谷氏本人が本の最後に書いているように、この本の前提は、早期発見ガンである。
発見が遅れて、すでに他部位や骨に転移していたる人や、治ったと思っていても何年か後に再発した人などは、もっと深刻である。
そういう患者さん達にとって、三谷氏の言うように、普通に、普段と変わりない気持ちで、手術室へ向えという考えは、しっくりこないと思う。
そして、一番大事なことは(三谷氏もそうだったが)、如何にいい医者(=自分と波長が合う医者)と巡り会えるかだと、私は思う。
当然のことながら、医者はたくさんの患者さんと、次々に向き合って仕事をこなしていく。つまり、私という患者は、大勢の中の一人である。
それでも、我々のような一般の患者は、たまたま巡り会った一人の担当医が頼りであり、全てなのだ。
下咽頭ガンになった時の経験からも思うのだが、自分に合ったお医者さんと巡り会うことは、一般人には相当むずかしいのだ(ブログトップの下咽頭ガン顛末記を参照)。